「なるほどな・・・。」
「と、いうわけなんじゃ。」
「そういう時が来た、ってことだろうな。何事も、引き際が肝心って言うじゃねえか。」
「オレもそう思うわ。いくらお前さんが元気でも、需要が無いことを往生際悪くいつまでもやるもんじゃあねえよ。」
「まーしかし、よくここまで持ったもんだよな。それは流石と言わざるを得ねえや」
「うむ。ワシも正直、初めはどこまで持つか、と思っておったわ。探り探りじゃったしな。
  しかし・・・引き際なのは認めるが、今残っとる子たちのことが、気がかりでのう・・・」
「マルマインに度々アドバイスをもらってると聞いたが、それでもやっぱりダメか。」
「ああ・・・。ワシが諦めてはイカン、という気持ちだけはあるんじゃが、それだけでは、どうにも・・・。」
「生徒が足りねえのなら・・・逆にコーチを増やすのはどうだ。少人数教育にもなるぞ」
「そうだ。卒業生を先輩としてもう一度参加させるというのはどうだ?」
「ほう・・・卒業生を・・・か。」
「おお、ケンタロスにしては良い案じゃねえか!卒業後の教え子にとっても良い刺激になるし、一石二鳥だな」
「しかしのう・・・、一度巣立って行った生徒を、再入学させるというのは・・・」
「ケッ、お前も随分と細かいことを気にするようになったもんだ」
「仕方ないじゃろう。ワシはあの頃とは違って、責任ある立場なんじゃよ・・・」
「アシスタントという形ならどうだ。」
「なるほど・・・それはアリじゃ。やってみる価値はあるかも知れん!」
「それでもダメなら・・・最終的にはマンツーマンの教育を考えた方が良いだろうな。」
「うむ。ワシもゆくゆくは・・・と考えてはおる。2人とも、いつもながら、よいアドバイス、かたじけない。」

予備校物語
第52話 〜夕暮れ〜

「あっ!その役、僕が引き受けましょうか?」
「おお、プクリン君!やってくれるのかね!」
「ちょうど僕、新しい型を試してみたかったところなんですよ!」
「ありがとう!助かるぞ!君にとってもきっと、良い経験になるはずじゃ。」
「では、その時まで、お待ちしてますね!」

「先生!先生!」
「おお、どうしたデリバードちゃん。今日はやけに元気じゃのう」
「デリバードちゃん、今日は何だかすごく気分がよくて、早く試合がしたいらしいですよ!」
「おお!それは感心、感心。では、行きましょうか。」



「やったぁー!!」
「おお!!すごいよデリバードちゃん!大手柄だよ!!よくドンファンをあそこまで振り払ってくれたね!」
「うむ!あそこまでの回数流すのは、他の生徒じゃなかなか出来んことだぞ!」
「美しい・・!なんて美しいんだ・・・」
「ちょっと、そんな、恥ずかしい////」
「あっ!いや、ゴ、ゴメンその、なんというか、戦術というか、立ち回りが、う、美しいと、、、」
「・・・・そっか。」
「(あれっ、、ボクは何か、言ってはいけないことを言ってしまったのか・・・??)」
「でも先生、私、まだまだですね。今の動きは、他の特殊系飛行ポケモンにも出来ますもんね。」
「うむ!よくそこに気がついた。デリバードちゃんはちゃんと、そこの差別化もしたいんじゃろう?」
「はい!私もっと、私にしか出来ない戦い方で活躍したいんです!」
「えらいなあ。僕なんてまだ戦うのに精一杯なのに。」
「デリバードさんならきっと、出来ますよ!がんばってください。」
「みんな、ありがとう♪」
「(ボ、ボクは一体なにを言ったと・・・・)」
「先生、すみません、少し話が・・・」
「どうしたの?」
「僕、自分をもっと磨くために、この予備校に興味を持って体験入学に来ましたが、、
  どうやら、僕が活躍出来る場所は、もっと違うところにありそうで・・・」
「うむ。君ならばそう言うと思っておったぞ。」
「校長先生・・・!」
「気にせんでよい。ハリーセン君、君が一番、自分が輝けると思う場所を見つけるのじゃ。それも修行のうちじゃよ」
「はい!ありがとうございます!」
「短い間だったけどありがとう!お互いがんばろうね!」
「またどこかで会ったときは、よろしくね♪」
「(ボクは・・・いったい・・・なにを・・・・・・・)」

つづく