第3話 〜憎しみの矛先〜



「ただいま〜ッ!」

雷神掌たちが帰ってきた。


龍御「お〜い、誰も居ねぇのか〜??」

みみ「ありゃ、2人ともまだ寝てらぁ」

雷神「おーい、もう3時だぞー、おやつの時間だぞぉ」

龍御「お前だけ喰ってろ」



伊達「あぁ……おかえり………」


流石に昨晩の精神的疲労が応えて、2人ともぐったりしていた。


TRY「おはよ……う」

みみ「もう昼だZE☆」


龍御「なぁ………隊長は??」

雷神「え、奥に居ないの?」

みみ「ん?隊長〜??」



伊達「……………」

2人が寝ていた寝室だけが、他の部屋とまるで違った重苦しい空気に包まれていた。


雷神「隊長知らない?」


伊達「……………」


伊達が躊躇していたところ、TRYが話し出した。
昨晩に起こったことを、ありのままに話した。背中を押された伊達もそれに続いた。
つい先程までの寝室の空気が、小屋じゅうを支配した。



雷神「………………」

龍御「…………………」

みみ「……………………」



伊達「…………悪い、俺が無力なばっかりに………」

TRY「俺も同じだ。でも隊員として、隊長を死なせるわけには……!」

伊達「それはそうだ。………だけど、グリが…………」



龍御「仕方なかったんじゃねぇのかな………」

龍御が切り返した。


龍御「お互い、もう誰にも止められねぇぐらいに気持ちがエスカレートしてたっつーか」

雷神「うむ、俺たちが居ても結果は同じだったんじゃないかな。
   伊達TRYはよくやってくれたと思う」

みみ「5人して力ずくで引き離せばその場は何とかなるだろうが……
   ただのその場凌ぎってやつだ」



龍御「人それぞれ、誰にも変えられねぇような運命っつーのがあるんだよ………」


龍御は後ろを振り返り、窓から空を見上げて何かを思い出すように呟いた。


今日も空には、爽やかな青が無限に広がっている。


龍御「あの兄弟だってそうだろ……」


風が一瞬、龍御の髪を揺らした。


伊達「赤毛か………」


小鳥の群れが飛んで行った。


龍御「全く正反対の道を選んだっつーのに最期は同時なんだぜ…。」

伊達「ただ………もっと事前に、事を防ぐ手立ては無かったのだろうか……?」

TRY「事の発端は、10年前の戦争………奴が全部悪いんだ。」

龍御「いや待て、憎むべき相手はそれだけじゃねぇぞ」

TRY「ん??」

龍御「そもそも何であんな物騒な武器が出回ってるかっつー話だよ」

伊達「なるほど。。」

みみ「そういや聞いたことあるぜ…"岸怪征"とかいう組織だったなァ」

雷神「昔聞いたことがあったけど…まだ活動してたのか!」

みみ「細々と金儲けを続けてるらしいぜ…」


TRY「クッッ、許せん……、
   そんなモノがどんどん開発されてたら、一生世の中は暗闇のままだ!」

TRYは床を殴った。



そして丁度その頃、岸怪征の研究所では、ある新しい道具を開発している最中であった。
その名も"洗脳砲"。大筒にある特殊な成分を含んだ銃弾を詰める。
発射した弾が当ると、その者は、発射を実行した者に洗脳されてしまう。
言わば、発射した者の手下同然になってしまうという、恐ろしい道具である。

彼らはその新兵器でまた、一儲けを狙っているのである。
研究所での頭は、グリップという名の博士であった。



ある日、部下の調べにより、洗脳砲の話が雪春の耳に入った。


「・・・・・!!!」

雪春「コレは……… 使える・・・・!!!」


部下「しかし、、どうせ気の遠くなるような値(ね)が付けられるんですよ。。。」

雪春「何を言っている、奪ってしまえばいい話だ」

部下「はっ。では、我々は密かに監視しつつ、完成を待つことに致します」

雪春「うむ、頼んだ。……よし、DATEにも伝えておこう。

・・・これは面白いことになってきたぞ。ククク………」